【 規定概要 】
我々納税者の立場からすれば、嬉しい限りの規定の一つであります。過去に適用停止となった規定の復活なのですが、平成21年2月1日から平成22年3月31日までの間に終了する各事業年度において、中小企業等について生じた欠損金について、繰戻しの還付を行うという規定です。
しかし、国というものは、税金を納めるときには当然のように受け入れますが、納税者が納めた税金を払い戻すという還付については、必要以上に神経質であり、本規定以外においても、過剰な資料請求や税務調査、さらには税務調査時における執拗な否認姿勢というものが存在するのも、やはり否めない事実といえるでしょう。
【 税務調査の可能性 】
この規定の適用を受けると、本当に税務調査が入る結果となるのか?結論から申し上げると、誰にも分かりません。ある意味無責任に聞こえるかもしれませんが、還付を受ける我々が人間であると同じく、相手である税務調査を行う側の課税庁も、当然に人間であり、そうした人間の集合体である組織であります。広い範囲で同業といえる同所轄内の同等規模の法人が、一方は創業以来10年以上税務調査を経験していないのに対し、一方はほぼ3年毎に税務調査を受けている。経営者が他にも数社を経営している?経営者の年齢?創業以来の実績?はたまた、顧問税理士の手腕?…その明確な回答など、どこにも存在しないのです。万に一つ存在したとしても、それを知って何になるのでしょうか。
税務調査だからといって逃げ腰になる経営者や顧問税理士、繰戻還付で税務調査を受けなかったことを“売り”にする税理士、経験と過去の実績だけを自慢にする税理士…。私見はさておき、日々の経営の中で、思わずビクツクような何かがゼロに近ければ近いほど、そうした外部要因は気にならないものです。私どもの立場では、月々の月次監査という業務を単なる試算表を作成するための入力業務と認識しているにすぎないか、限られたお客様との会話の中で敏感に察知した事項に対し、いかに的確に、いかに正確に対処をするかに尽きる論点であります。
この規定のみに限ることではありませんが、冨田会計事務所では、常にお客様の判断に誤差の生じないよう、法解釈にはじまり、メリットとデメリット、作用と反作用をいう基本的かつ当然の情報提供とサービス提供に努めております。お客様の立場から考えると、不明瞭に感じられる表現かも知れませんが、それが真実であり、現状を把握した上での的確な見解であると認識しております。
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