コラム

上場株式等の譲渡損失と配当所得の損益通算・繰越控除が可能に

【 規定概要 】

100年に一度といわれる世界的不況の中、投資家の方にとっては、まだまだ気が気でない日々が続いております。そんな中、“金融関係所得課税の一本化による投資家納税者の利便性の考慮” をスローガンに掲げて改正された内容で、これまでは、上場株式等の譲渡損失が生じた場合には上場株式等の譲渡益にのみ繰越控除を認めていたものを、同類の所得である配当所得からの繰越控除や損益通算が可能になったというものです。

確定申告書を提出する居住者等の平成20年分以後の各年分について、上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択した場合に限る。)との損益通算及び繰越控除(3年間)が可能となりました。なお、平成20年以前の各年において生じた上場株式等に係る譲渡損失で平成21年以後に繰り越されるものについても、平成21年分以後の各年分の上場株式等の配当所得から控除することが可能です。

さらに、平成22年以後の各年においては、源泉徴収選択口座内の上場株式等に係る譲渡損失の金額とその源泉徴収選択口座内の配当等について徴収される所得税の額は、その年中の源泉徴収選択口座内の配当等の総額とその上場株式等に係る譲渡損失との間で損益通算をした後の残額について源泉徴収税率を乗じて計算した金額とすることとされております。

【 配当所得がある場合の繰越控除の順序 】

株式の譲渡についての税制面では、上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等に係る配当所得との損益通算という制度があります。平成21年分以後の各年分に上場株式等に係る譲渡損失がある場合には、その年分の上場株式等に係る配当所得と損益通算ができるという制度及び繰越控除はその前年以前3年内に生じた上場株式等に係る譲渡損失が対象となるため、平成21年分については、平成20、19、18年分から繰越した譲渡損失との通算ができるという制度です。

ただし、上場株式等に係る譲渡損失との損益通算ができる上場株式等に係る配当所得は、申告分離課税を選択したもののみであり、上場株式等に係る配当所得もある場合の繰越控除の順序については、その年分の株式等(含上場株式以外)に係る譲渡所得から先に控除し、それでもなお控除しきれない金額がある場合には、上場株式等に係る配当所得からも控除することができるということになります。

なお、特定口座においては、配当所得の受け入れは平成21年1月1日からとされていますが、損益通算をすることは可能であるため、平成21年分の確定申告をすることにより、特定口座の上場株式等に係る譲渡損失と、上場株式等に係る配当所得の損益通算は可能ということになります。

【 上場株式等以外の株式との関係 】

また、上場株式等の配当もある場合の繰越控除の順序については、15%の税率が適用される上場株式等以外の株式の譲渡所得の金額から先に控除し、それでもなお控除しきれない場合には、平成21年から平成23年までの期間について7%の軽減税率が適用される上場株式等の譲渡所得金の額から控除することとされております。これは、税率の高い方から先に控除することとなるため、結果として納税者有利となっているのです。