非嫡出子(法律上、未婚の男女の間に生まれた子)の相続分は、嫡出子(法律上の夫婦間の子)の1/2とする旨が、民法第900条の第4項但書に規定されています。
この規定をめぐっては、かねてより合憲か違憲か見解の分かれるところであり、判例もそれぞれ出ております。合憲説の根拠としては、民法が一夫一婦制による法律婚主義を採用していることから、配偶者に次ぐ相続人たる者が嫡出子であることは当然のことであり、嫡出子と非嫡出子との間に、少なくとも相続分について差を設けることが、法律婚主義の論理的帰結であるということです(最高裁 1995年)。しかし、今般立て続けに違憲説を採用した判決が下されるに至り、以下に代表的な判決を2つほどご紹介したいと思います。
【 大阪高裁判決 】
平成23年8月、大阪高裁は、「親子関係に対する国民の意識も多様化しており、子の法律上の取り扱いを嫡出子か非嫡出子かによって区別することは、言われない差別を助長しかねない」 ことなどを挙げ、非嫡出子の相続分についいて違憲と判示しています。
【 名古屋高裁判決 】
平成23年12月、上記の大阪高裁に続き名古屋高裁も、一定の条件付きで違憲であるという判決を下しました。非嫡出子として出生した原告の父親は、その後、原告の母親とは別の女性と結婚し嫡出子が出生したことが事の発端となったこの事件では、民法の方の下における平等性にまで言及されており、判決としては、「非嫡出子が生まれた時点では優遇すべき法律婚や嫡出子が存在していなかったことから、その後に出生した嫡出子との間に生じる差別に合理性を認めることは困難である」 とし、条件付きでの違憲と判示しています。