新聞やニュース等のマスメディアを通じて大々的に取り上げられたが、去る平成23年7月6日、最高裁判所第三小法廷にいおて、これまでわれわれ税理士が悩み、訴え、切望していた年金受給権に相続税を課税し、さらに年金に所得税を課税するという現在の制度が二重課税、つまり違法であるということが決定、福岡高等裁判所の判決を覆し、納税者側の逆転勝訴で決着した。
最高裁は、所得税法第9条第1項15号に規定されている“相続により取得するものには所得税を課さない”としている趣旨は、相続税や贈与税の課税対象となる経済的価値に対しては所得税を課さないとして、同一の経済的価値に対する相続税と所得税との二重課税を排除すべく規定されたものであると解することができ、年金受給権に係る年金支給額のうち、相続税や贈与税の課税対象となった経済的価値と同一のものである場合には、所得税の課税対象にはならないと判示した。
この最高裁判決によって、“二重課税”と判示された以上、これまでの課税に対する取扱いが変更されるため、既に納め過ぎている所得税については、更正の請求という手続により当然に還付されることとなる。 なお、現時点において決定はされていないものの、財務大臣は更正の請求の原則である5年を超える部分についても救済措置を検討するとのことなので、諦めかけている方々も今後の動向に目が離せない状況となるでしょう。 より迅速かつ的確な対応を期待するとともに 「もしかしたら…」 と思われる方は、一日も早く信頼できる税理士に再確認等の依頼をされることをお薦め致します。