贈与 類似特例に潜む受贈者の親族の範囲に要注意! | 埼玉川口市の会計事務所なら|冨田会計事務所

コラム

贈与  類似特例に潜む受贈者の親族の範囲に要注意!

【 規定概要 】

今回の税制改正により創設された「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の規定は、従来からの暦年課税及び平成15年に創設された相続時精算課税のいずれとも併用適用が可能な規定です。500万円の非課税額ですが、暦年課税では基礎控除額と併せ610万円、住宅特例でも相続時精算課税では4,000万円となり、注目されているとおり多額の非課税枠といえるでしょう。また、この500万円の非課税分は、その名のとおり非課税、つまり相続開始前3年以内の生前贈与加算や相続時精算課税制度のように相続時に加算(持ち戻し)されることはないという点でも、非常に魅力的な規定となっております。

適用要件の上でもほぼ同様といえる類似事項の多い両規定ですが、受贈者の範囲が異なるという大きな違いにご注意下さい。直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の500万円の非課税特例では「平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、直系尊属から…」となっており、贈与を受ける側である受贈者の立場からすると、親はもちろん、祖父母や曽祖父母等も含まれます。一方、相続時精算課税では「平成15年1月1日から平成21年12月31日までの間に、住宅取得等資金の贈与をした者の直系卑属である推定相続人で…」となっており、受贈者の立場からすると、親が他界している場合等を除き、親世代よりも上の世代である祖父母や曽祖父母は含まれないということとなります。

【 推定相続人の意義 】

推定相続人とは、贈与をした者の最先順位の相続権(代襲相続権を含む。)を有する者を指し、当該推定相続人であるか否かの判定は、当該贈与の日において行うこととされております。具体的には、贈与者が死亡した場合に相続人になれる者ということです。子の立場で考えますと、親が健在である場合に、その親である祖父が死亡しても子は相続人にはなり得ず、仮に親が祖父の死亡以前に死亡してしまっている場合等には、祖父からみれば孫にあたる子であっても、相続人となり得るのです。つまり、推定相続人といえ、相続時精算課税の適用を受けることができる、ということになるのです。