住宅取得等資金の500万円非課税特例 Q&A | 埼玉川口市の会計事務所なら|冨田会計事務所

コラム

住宅取得等資金の500万円非課税特例 Q&A

先般、弊事務所ホームページにて掲記させて頂きました、本年度創設された贈与税の住宅取得等資金の500万円非課税特例の内容についてはご好評を賜り、数多くのお問い合わせを頂き、誠にありがとうございます。私どもも、この特例に対する皆様のご関心の高さを窺い知ることができました。

つきましては、お問い合わせ頂きました中から、弊事務所がお客様のお役に立つであろうと考える案件について、Q&A方式で掲記させて頂きますので、ご参考にして頂けると幸いです。
【 Q1 配偶者の親からの贈与でも適用あり? 】

A この特例は、あくまでも受贈者本人の直系尊属からの贈与のみに適用があるものであり、姻族の両親は直系尊属には該当しませんので、適用を受けることはできません。なお、直系尊属ということですので、祖父母や曽祖父母からの贈与については、その他の要件さえ満たしていれば適用を受けることができます。
【 Q2 養親からの贈与でも適用あり? 】

A 法的に養子縁組を済ませている場合、受贈者である子からみた養親は法定血族(実親は自然血族)となりますので、その他の要件さえ満たしていれば適用を受けることができます。なお、自分の親がその親(自分からみた祖父母)と養子縁組をしている場合等には、祖父母と親との間で結ばれた養子縁組が、自分が誕生する以前に成されたものであるならば、自分と祖父母とは法定血族ということになりますので、その他の要件さえ満たしていれば適用を受けることができます。しかし、自分が誕生した後に養子縁組が成されたような場合には、法的血族とはならず、当然に直系尊属にも該当しないこととなるため、この特例の適用を受けることはできません。
【 Q3 父と母の双方から500万円ずつ贈与を受けても適用あり? 】

A この特例は、平成21・22年中に贈与により取得した住宅取得等資金について、受贈者単位で500万円までを贈与税の非課税とする、という制度です。受贈者1人について500万円までが上限ですので、父母の双方から500万円ずつでは合計1,000万円となるため、その全額が非課税となるものではありません。
【 Q4 贈与を受けた年の翌年5月に新築工事が完了するが適用あり? 】

A この特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得することが要件となっております。しかし、新築の場合には 「新築に準ずる状態」 というものも含まれておrますので、屋根を有した土地に定着した建造物として認められる状態であれば、その適用に問題はないはずです。こうした場合、贈与税の期限内申告書の提出時に、添付書類としてその旨を証する書類等、具体的には、請負契約書等の写しや建設業者等の発行する新築に準ずる状態にあること及び工事完了予定日等の記載のあるもの、住宅工事完了後遅滞なく居住の用に供することを約する書類等を、他の添付書類に追加してその所轄税務署長に提出することとなります。
【 Q5 取得した分譲マンションが、贈与を受けた年の翌年5月に完成するが適用あり? 】

A 答えからすると、この特例の適用を受けることはできません。上記Q4にあるように “新築” には 「新築に準ずる状態」 というものが含まれるのですが、建売住宅や分譲マンションの “取得” には、この 「新築に準ずる状態」 というものは含まれておりません。この特例の適用を受けるためには “取得” の場合、あくまでも当該贈与を受けた年の翌年3月15日までにその引き渡しを受けていなければならないのです。
【 Q6 相続時精算課税と併せてこの特例を受けた後、贈与者が死亡した場合の加算額は? 】

A 相続税法上、相続時精算課税の規定の適用を受けた財産及び相続の開始前3年以内にその相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産については、当該被相続人に係る相続税の申告の際、これらの贈与により取得した財産を相続税の課税価格に加算するという、生前贈与加算の規定が存在します。しかし、この500万円の非課税特例については、その名のとおり贈与税の非課税に該当するため、相続時に加算することとなる贈与財産の価額は、他にこの生前贈与加算の規定に該当する贈与財産がない場合、相続時精算課税適用財産のみということになります。なお、過去の同一年中にこの特例を受ける贈与と他の贈与が被相続人からされており、相続開始前3年以内の贈与に該当するものと該当しないものとがある場合には、該当する贈与から先にこの500万円の特例を適用することと通達において明記されており、納税者有利の取り扱いとなっております。
【 Q7 この特例を受けた翌年に居住する予定だったが、譲渡することとなってしまったら? 】

A この特例は、贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋を居住の用に供していない場合には適用を受けることができず、贈与税の修正申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。修正申告書の提出期限については、贈与年の翌年12月31日から2ヶ月を経過する日(つまり翌々年の2月末日)までとされており、提出された修正申告書については、期限内申告書とみなされることとなります。